vol.3 データを保管するモノとは? HDD、フラッシュメモリ編

2013/02/13

次に、外部メモリに相当する補助記憶装置について見ていきます。データを記録するためのものとして最も一般的なものが、今では外付け製品も数多く登場しているハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)でしょう。ハードディスクは、表面に磁気材料を塗布した磁気ディスクと呼ばれる盤を高速回転させ、磁気ヘッドがデータの書き込みや読み出しを行います。つまり、ディスクの表面にデータを書き込むことで、記憶装置としての機能を実現しています。この磁気ディスクのことをプラッタと呼びます。

ハードディスクに用いられるプラッタの直径は、3.5インチや2.5インチが一般的で、容量に応じて複数枚のプラッタで構成されています。データの読み書きを行う際には、磁気ヘッドのついたスイングアームを高速回転しているプラッタ上に移動させ、磁気的な記録と読み出しを行います。なお、データはスピンドルモータと呼ばれる回転軸を中心にプラッタ上に複数の同心円として記録されます。この同心円の1つずつをトラックと呼びます。また、トラックを分割した最少記録単位のことをセクタと呼びます。

ハードディスクを備えた製品は、NAS(Network Attached Storage)と呼ばれるネットワーク接続用のファイルサーバ専用機をはじめ、複数のハードディスクを装備したディスクアレイ装置や持ち運びに便利なポータブルHDDなど、様々な製品に用いられています。今では単価も安く、大容量の記憶装置が必要な場合に最も選ばれているポビュラーなものだと言えるでしょう。

他にも、多くの場面で利用されているのが、フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリです。半導体メモリには、電源を切ると記憶情報が失われる揮発性メモリと電源を切っても記憶情報が保持される不揮発性メモリに分けることができ、前者はSRAMやDRAMなどのRAMがそれに当たり、後者はPROMやEPROMなどになります。半導体メモリでデータが保持できるのは、電荷を保持する「フローティングゲート」という絶縁された領域が内部に追加されており、そこに蓄えられた電子が電源を切っても漏れださないためです。

この半導体メモリの中で補助記憶装置として一般的によく目にするのは、持ち運びに便利なUSBメモリや、ハードディスクの代わりに利用できるSSD(Solid State Drive)です。これらはROMの一種ながら書き込みが行えるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を使ったフラッシュメモリが用いられており、メモリチップと基盤で構成されたシンプルな構造が特徴です。フラッシュメモリには、集積度が低いものの信頼性の高いNOR型と、集積度が高く書き込み速度が速いNAND型があり、SSDやUSBメモリにはNAND型が採用されています。

実は、このNAND型フラッシュメモリが爆発的に普及していることをご存じでしょうか。実は、iPhoneをはじめとしたスマートフォンやiPadなどのタブレットデバイス、そして、Ultrabookなどの新たなモバイルPCにこのNAND型フラッシュメモリが採用されており、多くの人がその恩恵を受けているのです。