vol.9 バックアップツールが持っている機能
一般的なバックアップツールが持っている機能には、どんなものが挙げられるのでしょうか。ここで、バックアップツールが持っている機能について見ていきます。
まずはバックアップを行うためのスケジュール機能です。どのタイミングでバックアップジョブを走らせるのか、どの場所にバックアップを行うのかなど、バックアップ作業の自動化を手助けしてくれます。また、取得したバックアップデータの世代管理を行うことで、リストア時にどのデータを戻すのかが選択することができるようになっています。
バックアップデータを取得する機能には、「フルバックアップ」「増分バックアップ」「差分バックアップ」と呼ばれる3つのものがあります。
「フルバックアップ」はすべてのデータを丸ごとバックアップする機能で、バックアップ対象のコンピュータに対してはじめてバックアップを行う際に用いられます。
「増分バックアップ」は、前回バックアップした時点からの変更分だけを取得して保存していく機能です。短時間でバックアップできるようになりますが、リカバリの際にはフルバックアップしたものをまずは戻し、そのあと増分データを戻していくことになるため、増分の世代が数多くある場合はリストアに多くの時間が必要になります。
「差分バックアップ」は、フルバックアップとの差分だけをバックアップすることで、リストア時にはフルバックアップデータと差分バックアップデータの2つのみでリストアを完了させることができるようになっています。なお、差分データとフルバックアップを内部で合成する「合成バックアップ」と呼ばれる機能を持った製品もあります。
他にも「仮想テープライブラリ機能」と呼ばれる機能を持った製品があります。もともと磁気テープを用いてバックアップを行ってきたものの、運用を軽減するためにディスクによる運用に変更したいと考える方もいらっしゃることでしょう。その際には、仮想テープライブラリ機能を使うことで、これまで行ってきたテープによる運用を変更することなく、ディスクに切り替えることができます。具体的には、ディスクの中に仮想的にテープライブラリを作成することで、テープと同じ運用をディスクでも可能にしてくれる機能です。
また、近年注目を集めているのが「重複排除機能」です。例えば、複数のファイルサーバのデータをバックアップする場合、まったく同じファイルが複数のファイルサーバに分散して保存されていることもあるはずです。そこで重複排除機能を利用すれば、重複するデータを減らして、よりストレージの利用効率を高めることが可能になります。
なおバックアップツールには、シマンテックの「Backup Exec」「NetBackup」をはじめ、CA Technologiesの「CA ARCserve」、アクロニス・ジャパンの「True Image」などが有名です。