慶應義塾 理工学インフォメーション テクノロジーセンター様 導入事例

教育・研究で使用したHDDを廃棄する際、磁気データ消去装置を活用して
機密性の高い研究データや個人情報を消去。
1台で200研究室に対応。

理工学研究・教育の現場では機密性が高いデータや個人情報を大量に扱います。

ビッグデータの活用やAIの研究も進む現在、情報漏洩はなんとしてでも避けたいリスクです。

慶應義塾 理工学インフォメーションテクノロジーセンターは、情報機器の更新・廃棄時、HDDのデータ消去にアドバンスデザインの磁気データ消去装置「MagWiper MW-30000X」を活用してデータを消去。

200ある研究室すべての消去処理を処理速度が速い同機1台でカバーすることで運用負荷の軽減に成功しています。

概要

  • HDDの研究データや個人情報を磁気消去して漏洩を避ける
  • 重要なデータを復旧できないように消去してHDDを廃棄する

理工学研究・教育の重要データを消去して情報保護

1858年、福澤諭吉が開いた蘭学塾を起源とし、最先端をいく教育・研究機関として知られる慶應義塾。理工学分野では、1980年代には早くもJUNET等でインターネットに取り組むなど、常に時代を先取りしてきました。現在、慶應義塾の矢上キャンパス(神奈川県横浜市港北区)には理工学関係の研究室が200程度あり、学生や教職員、研究者が活用するネットワークやサーバーといった情報インフラ基盤を「理工学インフォメーションテクノロジーセンター」(以下、理工学ITC)が支えています。21世紀に入って機械学習やAIの研究が活発になり、情報データを大量に取り扱うようになりました。また個人情報保護への意識が高まった影響もあり、PCの更新やHDDの廃棄時には復旧できないようにデータを消去しなければならないといった情報漏洩リスクへの認識も定着。2010年代の早い時期から磁気データ消去装置を導入するなど情報セキュリティ対策を進めていました。

高性能な「磁気データ消去装置」へ更新し、効率向上

2020年夏、機器の更新に伴って兼松エレクトロニクスから提案を受け、以前の機器と同等以上の機能を持つアドバンスデザイン株式会社の磁気データ消去装置「MagWiper All-In-One MW-30000X」を導入。ノートPCを分解することなく内部のHDDのデータを短時間で消去できる能力の高さ、2.5型HDDであれば最大51台を同時に消去できる利便性の良さで、200ある研究室のHDDのデータ消去を同機1台で対応。各々の研究室の独立性を保ちながら、情報漏洩リスクと運用負荷の軽減に成功しています。

目標・課題

  • 大規模な組織全体をカバーする高い消去能力が必須
  • 消去証明書の発行等、多様なケースへの対応が必要

物量の多さに対応するためには高い消去能力が必須

前述したように、慶應義塾 矢上キャンパスには研究室が200ほどあり、それぞれに十数人が所属しています。単純に計算すると人数は2,000人を超え、研究室ごとにPC、サーバーを購入しているため物量がたいへん多い状況です。使用済みHDDデータを復旧できないように削除して廃棄することが徹底されていますが、「明示的な規則はなく、研究室ごとのリテラシー・運用に任せています」と慶應義塾 理工学ITCの樋山健太朗氏(以下、樋山氏)は語ります。この背景には、一般企業とは異なり、研究を滞らせないことが重要なため、情報セキュリティについては個々の研究やプロジェクトごとにルールを決めている事情があるからです。このため、使用頻度等々を考慮して、キャンパス全体で使用できる高い消去能力を持った装置を用意。適切で一元的なデータ消去手段を提供する必要がありました。

慶應義塾大学 理工学インフォメーションテクノロジーセンター
樋山健太朗氏

さまざまな使用状況に柔軟に対応できる機能が必要

また、運用が異なる複数の研究室が利用することを考えると、研究によっては他の機関等からデータを借りてきたり、個人情報を使用したりすることも想定できました。機密性が高いデータの使用後に情報提供者に消去証明書を提出することもあり、証明書の発行機能を準備しておく必要もありました。

解決策

  • 最大51台の2.5型HDDを約0.1秒で同時に消去する能力を評価
  • 別売の「磁気消去ログ管理システム」で証明書発行にも対応

導入商品

MagWiper All-In-One MW-30000X
磁気データ消去装置

高い磁気データ消去能力と速さ、使いやすさを評価

検討の結果、アドバンスデザイン株式会社の磁気データ消去装置「MagWiper All-In-One MW-30000X」が導入されました。HDDの消去には、他にも物理破壊装置やデータ消去ソフトを用いるソリューションがあるなか、磁気データ消去装置を選択した理由について、樋山氏は「簡単に操作できて、復旧がほぼ見込めない削除クオリティの高さから磁気消去装置を選択した」と話します。

磁気データ消去装置はHDDに強力な磁気を照射して「プラッター(HDDの磁気記録領域)」の情報を消去します。そのため、故障したHDDでも消去可能というメリットがあります。MagWiperシリーズの場合、独自の磁気データ消去技術「斜め磁化システム」が採用されており、従来方式に比べ約1.5倍の消去能力があります。これにより、消去が難しいとされる「垂直磁気記録方式」の大容量HDDのデータも確実に消去できるのが特長です。

加えて「MW-30000X」が、2.5型HDD51台を約0.1秒で消去でき、200の研究室の物量をカバーできる高い処理能力を有していることも評価されました。「消去スピードが速く、一度に処理できる台数が多いことから、MW-30000X一台で賄えています」と樋山氏は年度末等の入れ替えが多い時期でも対応可能な点を評価します。また、使用者が多いことから、ボタンひとつでデータが消去できる使い勝手の良さも運用効率の向上に一役買っているようです。

「MagWiper All-In-One MW-30000X」では、B4/A4サイズのノートPCを大型チャンバーにそのまま入れ磁気データ消去が可能。ノートPCで一般的に使われている2.5インチHDDの場合、最大51台、3.5インチHDDは最大14台に対応する。磁気消去ログ管理システム「OP-MW-LMS」(別売)で消去証明書も作成できる。

消去ログをPCで管理し、証明書の発行も可能に

さらに、MagWiperシリーズの磁気消去ログ管理システム「OP-MW-LMS」(別売)を導入し、装置シリアルナンバーや作業日時、結果を記録し、ログを管理できるようにしています。「日常的には使用していませんが、消去証明書が作成できる環境を準備し、さまざまなケースに備えています」と樋山氏が説明してくださいました。

効果

  • ノートPCを分解せずにデータを消去できて効率的
  • 研究・学習を妨げないHDDデータ消去フローを実現

廃棄フローの中に自然に入り、管理負荷を最小化

「MW-30000X」はB4、A4サイズまでのノートPCを分解することなく約0.1秒で搭載HDDのデータを消去できます。作業を止めずに約25秒のインタバールで蓄電し、短時間で作業が完了できるのが特長です。

「なんといっても、廃棄するノートPCをそのまま、簡易な操作でデータ消去できるのは便利ですね」と樋山氏は語ります。理工学ITCの窓口で、廃棄するノートPCを何台か持った学生に「(HDDを取り出すために使う)ドライバーを貸してください」と聞かれ「本体ごと機器に入れてデータ消去できます」と答えると喜ばれるとのこと。

「MW-30000X」は、理工学ITCの窓口付近に固定されており、使用希望者が訪れると説明書と本体付属の鍵を渡して、消去作業を任せる運用をしているといいます。

この運用で使い方がわかりにくいという声はなく、「消去ボタンひとつ押すだけで一瞬のうちにできて楽だという感想をよく聞きます」と樋山氏は言います。理工学系の学生、教職員、研究者の方々がPCやサーバーを使用した後に、HDD等を廃棄するフローの中に当たり前の機器として「MW-30000X」が自然に入り込んでいることがわかります。

また、200もの研究室がある物量の多い環境でも磁気データ消去装置1台ですべてカバーできており、管理負荷が小さくなっていることもポイントになっています。

研究・教育機関に欠かせない情報セキュリティ対策

「HDDのデータ消去については、使いやすさ、クオリティともに満足しています。今の性能を維持してほしいです。」という樋山氏。

今回、磁気消去ログ管理システムが導入され、消去証明書が作成可能となっていることも安心感につながっているようです。今後の予定として、樋山氏はSSDなど、普及が進んでいるシリコンメディアへの消去対応を挙げており、SSDに対応したアドバンスデザイン製データ消去ソリューションの追加導入を検討しているといいます。研究データなど機密情報や個人情報の漏洩を防ぐため、「MagWiperシリーズ」をはじめとするアドバンスデザインのデータ消去ソリューションを活用した情報セキュリティ対策は、今後も欠かせないものになっていきそうです。

廃棄するノートPCからHDDを取り出す手間が掛からず、スピーディーにデータを消去できる。

大量のHDDをまとめてデータ消去できるため、短時間で作業は完了する。

1858年、福澤諭吉が開いた蘭学塾を起源とする慶應義塾。日本を代表する未来志向の教育・研究機関のひとつとして知られています。慶應義塾インフォメーションテクノロジーセンターは、慶應義塾に集う人々に効果的な情報基盤を提供して、教育・研究の発展と円滑な運営に貢献するために設立されました。なかでも、矢上キャンパスにある「理工学ITC」は最先端の理工学研究と教育を支える中心的な存在として、研究室のネットワーク、サーバーなどITインフラ部分といった情報基盤の整備、運用管理に加え、システムの開発運用および維持に取り組んでいます。

導入商品

磁気データ消去装置 MagWiper All-In-One MW-30000X

引用元

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