神奈川県横須賀市様 導入事例
業務PC廃棄の際、磁気データ消去装置の活用で
個人情報などを含むHDD内の情報の完全消去を実施。
消去ログ管理で作業管理を徹底し作業漏れを防止
個人情報を取り扱う自治体において情報漏洩はあってはならないこと。
神奈川県横須賀市では、廃棄するHDDのデータ消去にアドバンスデザインの磁気データ消去装置「MagWiper MW-15000X」を使用し、消去処理を徹底しています。
データ消去ソフトウェアでの処理では1本あたり半日から丸1日かかっていたことで順番待ちが発生していた各所管課で独自購入したPC数台の廃棄に関しても随時データ消去が可能となり、管理負荷が大きく軽減。
さらにソフトウェアでの処理が不可能だった故障HDDのデータ消去も可能になりました。作業管理にはオプションの消去ログ管理システムを活用しています。
概要
- 市民から預かっている個人情報の漏洩はあってはならない
- HDD廃棄時は物理破壊、データ完全消去のいずれかを義務化
HDD廃棄ルールを設けて情報セキュリティー管理を徹底
横須賀市は神奈川県南東部の三浦半島に位置し、東京・横浜など首都圏のベッドタウンとして発展しました。
工業・農業ともに盛んで、国防の要所でもあります。
行政上、個人情報を多く扱う横須賀市では、システムやネットワークの管理、セキュリティー対策などを担当する政策推進部 情報政策課が主体となって、情報漏洩対策に注力してきました。
業務PCやサーバーなど情報機器の調達の際は故障HDDの返却が不要なリース契約を選択し、庁舎内で使用したHDDを廃棄する際は、物理破壊もしくはデータの完全消去処理のいずれかを義務付け、それらの処理を必ず庁舎内で施してからでないと、廃棄HDDを外に持ち出してはいけないというルールを設けて情報セキュリティー管理を徹底しています。
大規模なシステム更改で大量のPCを廃棄する際はデータ消去処理を専門業者に委託しますが、その際も作業場所を庁舎内に設け、業者はそこへ機材を持ち込み作業を実施します。
廃棄品搬出の際は作業履歴を証明できる「消去証明書」がないHDDの持ち出しを禁じるなど、徹底した管理を行っています。
「磁気データ消去装置」が廃棄HDDの管理負担を軽減
一方で、1台単位でPCを破棄する際は、データ消去ソフトウェアで消去処理を実施していました。
しかしその運用にはいくつかの課題があったことから、「磁気データ消去装置」の導入を検討。
2015年にアドバンスデザイン株式会社の磁気データ消去装置「MagWiper MW-15000X」を導入。
短時間でデータを完全消去できる能力や消去ログ管理機能により、管理負担の軽減を実現しました。
目標・課題
- データ消去ソフトウェアではHDD1台あたり丸1日かかることも
- 故障HDDのデータ消去も可能な「磁気データ消去方式」を検討
データ消去ソフトウェアに代わる新たな処理方法を検討
2015年以前、1台単位でPCを廃棄する際には内蔵HDDを取り出し、データ消去ソフトウェアによる完全消去処理を施した上で廃棄していました。
しかし、処理に時間がかかるのが難点で、「容量250GBのHDDでは、1台のデータ消去に半日以上。場合によっては丸1日かかることもありました。」と横須賀市 政策推進部 情報政策課 行政情報基盤係の山口 新人氏(以下、山口氏)は話します。
横須賀市 政策推進部 情報政策課 行政情報基盤係
山口 新人氏
また、HDDが故障していれば、そもそもPC上で認識できないためソフトウェアでの処理自体が実施できません。
物理破壊にしても、HDDに穴をあける程度では破損していない保存領域から重要データが復元できる可能性も残ります。
そこで故障HDDに関しては一時保管し、大規模システム更改などで処分するPCが大量に発生するタイミングに専門業者に消去処理をまとめて委託していたそうです。
そのため、故障HDDを数年間保管しなければならず、保管場所の確保などの管理負荷が生じていました。
少数の廃棄HDDへのデータ消去の即時対応や、故障HDDに対しての消去実施の必要性から、新たな処理方法を模索。
「その結果、『磁気データ消去装置』導入の検討に至りました。」と、横須賀市 政策推進部 情報政策課 行政情報基盤係 係長の坂本 憲幸氏(以下、坂本氏)は語ります。
解決策
- 約0.1秒で完全消去、MagWiperシリーズの消去能力を評価
- オプションの磁気消去ログ管理システムで作業管理が可能
磁気消去能力の高さが採用の決め手に
「磁気データ消去装置」とは、HDDに強力な磁気を照射することで、「プラッター」と呼ばれるHDD内の磁気記録領域に記録されている情報を破壊する装置です。
そのためPC上でのHDDの認識可否に関わらずデータ消去が可能で、故障HDDのデータ消去も可能な点に着目。
複数の商品を比較検討した結果、アドバンスデザイン株式会社の「MagWiper Standard MW-15000X」が採用されました。
MagWiperシリーズは、独自の磁気データ消去技術「斜め磁化システム」により、HDDのプラッターに対して斜めに磁気を照射することで、磁気消去が難しいとされる「垂直磁気記録方式HDD」のデータも確実に消去。
一般的な水平磁化タイプの磁気データ消去装置と比べて高い消去能力を実現しています。
昨今の大容量HDDの多くは垂直磁気記録方式を採用しており、この技術は大きな評価点となりました。
また、「MW-15000X」はわずか17秒ほどで磁気消去に必要な電力のチャージが完了し、さらにデータ完全消去に要する時間は約0.1秒。
PCのソフトウェアによる処理と比べ物にならないほど短時間です。「こういった性能を吟味し、MagWiperシリーズが採用されました。」と坂本氏は話します。
横須賀市 政策推進部 情報政策課 行政情報基盤係
係長 坂本 憲幸氏
「磁気消去ログ管理システム」で作業漏れを回避
坂本氏が最も重要と挙げるのは証跡管理。
MagWiperシリーズには、バーコードリーダーで読み込んだHDD表面の個体番号と消去作業の実施有無などの作業記録を紐づけて管理できる、PC用の磁気消去ログ管理システム「MW-LMS」(別売)が用意されています。
HDDの個体番号ごとに、消去時に発生した磁界の強さなどの詳細情報が記録でき、作業漏れを防ぐことができます。
また消去作業内容や結果はPC内にデータベースとしてまとめられ、消去証明書の作成も容易に行えます。
坂本氏は「情報政策課では、自ら所管するシステムのほか、全庁から随時廃棄HDDが持ち込まれます。データ消去作業が確実に実施されたことを証明する証跡管理が必須でした。」と述べています。
MagWiperと別売の磁気消去ログ管理システム「MW-LMS」をインストールしたPCをRS232Cで接続(推奨USB変換アダプターはバッファロー製「BSUSRC06シリーズ」)すると、HDD表面の製品情報と作業状況の紐づけやデータ消去の実行がPC上で一元的に行える。
PCに蓄積された作業記録を基に「消去証明書」の作成も可能。
効果
- PC廃棄時のHDDデータ消去が随時対応可能に
- 情報セキュリティー管理の徹底で個人情報漏洩を防ぐ
故障HDD保管にかかる管理負荷の軽減に
「MW-15000X」では約17秒での蓄電、約0.1秒でのデータ消去が可能です。
横須賀市では普段、装置本体は収納しているため、実際には取り出して接続準備する必要がありますが、それを含めても10~20分ほどで消去作業は完了できているそうです。
坂本氏はこの手軽さが大きなメリットだと語ります。
「HDDを廃棄する際に自分たちで随時データ消去できる。このおかげでHDDをまとめて廃棄するまで保管しておく必要がなくなりました。一括調達した情報機器のほか、庁舎内には各所管課独自に数台のみ調達したPCなどもありますが、それらを廃棄する際は、情報管理課でHDDのデータ消去を実施しています。消去完了まで時間のかかるデータ消去ソフトウェアで処理していた頃は順番待ちが発生し、処理を受け入れできるまでの間、廃棄予定のHDDを各所管課で保管していました。短時間でHDDのデータを完全消去できるということは、こうした管理コストを削減できるというわけです。」(坂本氏)
消去ログの紐づけも、HDD表面の個体番号バーコードを読み取るだけで行えるため、管理負荷は大きく軽減したと言います。
「管理の漏れをなくすために、各所管課でストレージを調達・廃棄する際には必ず連絡をもらうよう申請フローを一元化したほか、確実にデータ消去できたことが消去証明書から確認できてからでないと廃棄HDDを庁舎の外に一切持ち出せないよう管理の徹底を図っています。」(坂本氏)とのこと。
市庁舎は徹底した情報セキュリティーが求められる場所
坂本氏は「他の自治体にアドバイスできるとしたら、PC調達の際は修理返却時のHDD返却不要のリース契約を選ぶこと。その上で、証跡管理がしっかりしたデータ消去ツールを導入すること。」とした上で、「個人情報に関しては市民からお預かりしたものなので、これを漏洩することはあってはならないこと。実際に個人情報が含まれているかどうかは別にして、庁舎内で使用したHDDの廃棄にあたって、すべての情報を完全消去した上で処理されなければなりません。そこに『MagWiper』は大きく貢献してくれています。」と情報セキュリティー管理に取り組む姿勢を語ってくれました。
バーコードリーダーでHDD表面の個体番号バーコードを読み取るだけで消去ログとの紐づけが可能
操作は、トレイにHDDを入れて「ERASE」ボタンを押すだけ。約0.1秒でデータ消去が完了する。
- 神奈川県横須賀市
- 所在地 〒238-8550 神奈川県横須賀市小川町11
- 電話 046-822-4000
- URL https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/
神奈川県南東部の三浦半島に位置する人口約39万9千人(2018年2月時点)の都市。多数の防衛施設の置かれた国防の拠点。
東京湾側では工業、相模湾側では農業が盛んで、近年はICT技術の研究開発拠点である横須賀リサーチパーク(YRP)なども開設されました。「国際海の手文化都市」をスローガンに「交流人口(仕事やレジャーでの流入人口)の増加」に注力。
海軍カレーやヨコスカネイビーバーガーなどをはじめとする名物で町興しに取り組んでいます。